昭和大学歯学部高齢者歯科学講座 > 診療 > 診療内容
診療内容
1.外来診療
(1)高齢者歯科
当科は65歳以上の有病者と70歳以上の患者さんを対象に治療を行っています.現在,1日約50人,年間では延べ13,000人以上の患者さんが当科を受診されます.全人口に占める高齢者の割合も23%に達し“高齢者歯科”に対する期待は確実に高まってきていると実感しています.近隣の先生方からのご紹介も増えています.診療は高齢者が対象ですので,義歯を中心にした補綴処置全般に亘る治療(全部床義歯,インプラント義歯,顎義歯・顎顔面補綴,嚥下補助装置・発音補助装置)と,お口の健康と日常生活の質(QOL)の向上を目指し,日々努力しています.診療体制は佐藤教授を筆頭に予約制・担当医制(一部チーム診療)をとっています.
今後も、歯学部・医学部各講座と連携することにより,新しい高齢者歯科診療システムを構築し,下記の診療の充実をはかる予定です.
② 特色ある高度な診療(生体力学に基づいた高齢者の骨質に調和したオーダーメイドインプラント治療)
③ 全身管理の必要な高齢者の治療(麻酔科,専門臨床科などとのチームアプローチ)
④ 訪問歯科診療(チームアプローチで,歯科病院内での入院による集中治療も含む)
⑤ 摂食嚥下リハビリテーション(専門外来を側面から支援)
⑥ ドライマウス治療(専門各科とのチームアプローチ)
⑦ 口腔機能低下症
⑧ 摂食嚥下機能検査・管理
(2)インプラント
2010年4月に口腔外科,歯科補綴科など複数の講座と連携してインプラントセンターが発足しました.当科からは内田・奥山・伊藤・関谷先生が高齢者歯科と兼任して治療しております.毎週月曜日に開催される術前合同カンファレンスで様々な治療法を習得し,各インプラントメーカーによる教室向けのセミナーで技術の向上を図っています.
佐藤が中心になって作成したインプラント学会の「チェックリスト」「インプラントカード」もご覧下さい。日本口腔インプラント学会HP http://www.shika-implant.org/index.html
インプラントチェックリスト・プレゼン用ファイル チェックリスト
(3)顎顔面補綴
チーム診療の一環としての顎顔面補綴処置は、従来から当科が担当しております。一般的な有床義歯+栓塞子タイプに加え、近年は骨移植を併用したインプラントの応用により、患者さんのQOLを大幅に改善できる治療が可能となりました。
(4)唇顎口蓋裂治療
SCPT(昭和大学口唇裂・口蓋裂診療班Showa University Cleft Palate Team)の一員として、治療の最終仕上げとしての補綴処置を行っております。医学部と共同で勉強会および母親教室が行われています。
(5)MFC(Maxillo‐facial conference)
歯科病院口腔外科、矯正科とともに、骨格性下顎前突・咬合不全・顎欠損などの難症例に対するチームアプローチを展開しております。月1回のカンファレンスは症例数が倍増しましたが、ガッツと根性で頑張ります。
2.往診
現在は大田区と世田谷区の高齢者施設において往診活動を行っています。両施設ともに、歯科衛生士と口腔リハビリテーション科、麻酔科のご協力を得てチーム診療を行っています。昭和大学の特色であるチーム診療を生かして、摂食・嚥下機能障害に対しては、通院による機能検査の実施と、往診参加による専門性を高めた診療提供が可能になっております。観血処置や診療協力困難者に対する治療などには麻酔科医の管理の下で静脈内沈静法を用いた安全な処置を提供しております。
また、老年歯科学会において推奨されている口腔アセスメント表に口腔衛生学教室で使用している摂食・嚥下機能アセスメント表を組み合わせ、高齢者歯科独自の精度の高いアセスメントを採得し、入居者の生活の質を向上する一助となるべく活動を続けております。
3.口腔ケアセンター
藤が丘病院
口腔衛生学教室を中心に行われている口腔ケアセンターの活動に参加しています。口腔ケアセンターとは昭和大学関連8病院の入院患者様の口腔ケア(器質的ケア、機能的ケア)の徹底を図り誤嚥性肺炎や窒息事故等の発生防止を防止し、その後の医療を円滑に行うことに貢献しています。配属されている藤が丘病院では口腔ケアクリニカルパスを用いて、胸部心臓血管外科に掛かっている患者さんを中心に入院直後から退院までの口腔ケア、および必要に応じて一般診療も行っています。また、退院後も継続したケアが可能となるように地域連携パスに繋いでいます。
今後も、口腔の医療面から実際にパスの運用に深く関与する看護師、医師、薬剤師等の連携および地域医療に貢献していきたいと考えています。
豊洲病院
口腔ケアセンターより義歯補綴治療を依頼され、歯科往診を行っています。これもまた口腔ケアセンターの活動の一端と思い、歯科室の無い関連病院においても、入院中の患者様が快適で安全な食生活を送れるよう微力ながら力を尽くしております。経口摂取が生きる力となる現状を目の当たりにすると、歯科医師である喜びを強く感じます。今後は定期的に口腔ケアセンターの活動に参加して、迅速な連携が取れるような態勢で貢献したいと考えています。
臨床研修医
歯科病院を管理型臨床施設とする臨床研修施設群方式で臨床研修が実施されております。管理型臨床研修施設では総合診療歯科における一般歯科総合診療もしくは、学内専門診療科研修コースが6ヶ月間設定されました。
当科におきましては下記の内容で、2名を約6カ月ずつ、1年で6名の研修指導を行っています。
高齢者歯科研修内容
①高齢者歯科外来業務
- 月曜から土曜、高齢者歯科外来
- 急患担当および担当医の診療補助や実際の診療を行う。
- 診療終了後、担当医の説明や質問を受ける。
②訪問診療
- 木曜、金曜の午後、老人ホーム施設
- 特別養護老人ホームおよび有料老人ホーム2施設での往診チームに参加する。
- 往診後のカルテの記載、カンファレンスに参加する。
③治療した新患患者をケースとしてケースプレゼンテーションを行う。
- 実際に患者を配当され、指導医と共に治療計画を立てて治療を行う。
- 医療面接、診療録、研究用模型、初診時から治療途中または終了後写真等、資料採得を行い、治療計画の立案とプレゼンテーションを医局会にて行う。